標本分布②(各種分布表)

確率モデル 6-4b | キーワード:標準正規分布・t分布・カイ二乗分布・F分布・上側確率点

学習目標

正規母集団から導かれる標準正規分布・t分布・カイ二乗分布・F分布の性質を理解し、分布表を使った確率点の読み取りを習得する。

1. 標準正規分布 \(N(0,1)\)

標準化
\[Z=\frac{\bar{X}-\mu}{\sigma/\sqrt{n}}\sim N(0,1)\]
\(lpha\)0.100.050.0250.010.005
\(z_lpha\)1.2821.6451.9602.3262.576

2. t分布

t統計量(σ未知のとき)
\[T=\frac{\bar{X}-\mu}{s/\sqrt{n}}\sim t(n-1)\]

特徴:対称・釣り鐘型。正規分布より裾が重い。自由度 \( o\infty\) で標準正規分布に収束。

3. カイ二乗分布 \(\chi^2\)

カイ二乗統計量
\[\chi^2=\frac{(n-1)s^2}{\sigma^2}\sim\chi^2(n-1)\]

特徴:値は非負、右に裾が長い(右歪み)。分散の推測・適合度検定・独立性検定に使用。

4. F分布

F統計量
\[F=\frac{s_1^2/\sigma_1^2}{s_2^2/\sigma_2^2}\sim F(n_1-1,n_2-1)\]

特徴:値は非負、右に裾が長い。分子・分母の2つの自由度をパラメータに持つ。

F分布の対称性
\[F_{1-\alpha}(\phi_1,\phi_2)=\frac{1}{F_\alpha(\phi_2,\phi_1)}\]

5. 分布間の関係

関係式内容
\(Z^2\sim\chi^2(1)\)標準正規の二乗はカイ二乗(自由度1)
\(T(\phi)^2=F(1,\phi)\)t分布の二乗はF分布

6. 例題

【例題 17-1】t分布とNの使い分け

\(n=16\)の正規母集団から標本を取るとき、標準化した統計量は (a)\(\sigma^2=25\) 既知 (b)\(\sigma^2\) 未知で \(s^2=25\) の場合にどう異なるか。

解答
(a) \(\sigma\) 既知:\(Z=(\bar{X}-\mu)/(5/4)\sim N(0,1)\)
(b) \(\sigma\) 未知・\(s\) 使用:\(T=(\bar{X}-\mu)/(s/4)\sim t(15)\)
(計算値は同じでも (a)は正規、(b)は自由度15のt分布)
【例題 17-2】分布表の読み方

\(F_{0.95}(5,10)\) を求めよ。ただし \(F_{0.05}(10,5)=4.74\) とする。

解答
\(F_{0.95}(5,10)=1/F_{0.05}(10,5)=1/4.74\approx\mathbf{0.211}\)
(F分布の対称性を使用)

7. 練習問題

問題 1

正規母集団から \(n=25\) の標本を抽出したとき、\(\chi^2=(n-1)s^2/\sigma^2\) の自由度を求めよ。

問題 2

t分布と標準正規分布を比較したとき正しいものを選べ。
①t分布は標準正規分布と同じ形 ②t分布は正規分布より裾が重く、自由度が大きくなるほど正規分布に近づく ③t分布は非対称 ④t分布の確率点は自由度によらず一定

問題 3

\(F\) 分布の上側確率点の対称性を使って \(F_{0.95}(3,8)\) を求めよ。ただし \(F_{0.05}(8,3)=8.85\) とする。