学習目標
標本平均の期待値・分散、チェビシェフの不等式、大数の法則、中心極限定理を理解する。二項分布の正規近似と連続修正も習得する。1. 標本平均の期待値と分散
標準誤差(SE)は母集団の標準偏差を \(\sqrt{n}\) で割ったもの。n が大きいほど小さくなる(推定精度が上がる)。
2. チェビシェフの不等式
分布の形によらず成立する普遍的な不等式。例:\(k=2\) のとき \(P(|X-\mu|\ge2\sigma)\le1/4=25\%\)。
3. 大数の法則
標本サイズを大きくすると、標本平均は母平均に確率収束する。コインを投げる回数を増やすほど表の割合は0.5に近づく。
ギャンブラーの誤謬:「ずっと裏が出たから次は表が出やすい」は誤り。独立試行では過去の結果は次に影響しない。
4. 中心極限定理(CLT)
母集団の分布が何であっても、\(n\) が十分大きければ標本平均 \(ar{X}\) の分布は正規分布に近づく。目安:\(n\ge30\)。
5. 二項分布の正規近似と連続修正
6. 例題
【例題 16-1】中心極限定理の適用
平均50、標準偏差10の母集団から \(n=100\) の標本を取る。(1) \(\bar{X}\) の期待値と SE (2) \(P(\bar{X}\ge51)\)(\(P(Z\ge1)=0.1587\))
解答
(1) \(E[\bar{X}]=50\)、SE \(=10/\sqrt{100}=\mathbf{1}\)
(2) \(P(\bar{X}\ge51)=P(Z\ge(51-50)/1)=P(Z\ge1)=\mathbf{0.1587}\)
【例題 16-2】チェビシェフの不等式の適用
平均50、標準偏差5の分布。\(P(40\le X\le60)\) の下限をチェビシェフの不等式で求めよ。
解答
\(k=2\)(\(k\sigma=10\))なので \(P(|X-50|\ge10)\le1/4=0.25\)
よって \(P(40\le X\le60)\ge1-0.25=\mathbf{0.75}\)
7. 練習問題
問題 1
母平均72、母分散36の母集団から \(n=9\) の標本を取る。(1)\(\bar{X}\) の期待値とSE (2)\(P(\bar{X}\le74)\)(\(P(Z\le1)=0.8413\))
解答
(1) \(E[\bar{X}]=72\)、SE \(=\sqrt{36/9}=6/3=\mathbf{2}\)
(2) \(P(\bar{X}\le74)=P(Z\le(74-72)/2)=P(Z\le1)=\mathbf{0.8413}\)
問題 2
中心極限定理の重要性を「母集団の分布」と「標本サイズ」の観点から説明せよ。
解答
母集団の分布が何であっても(正規分布でなくても)、
\(n\) が十分大きければ標本平均の分布が正規分布に近づくことを保証する。これにより、母集団の分布を問わず正規分布ベースの推測(信頼区間・検定)が使えるようになる。目安は \(n\ge30\) だが、強い歪みがある場合はより大きな \(n\) が必要。