学習目標
確率の公理的定義、加法定理・条件付き確率・乗法定理・ベイズの定理を正確に理解し、複雑な確率計算に応用できるようになる。1. 事象と確率の基本
標本空間 \(\Omega\):起こりうるすべての結果の集合。事象 \(A\):\(\Omega\) の部分集合。
2. 加法定理
「少なくとも1回」などの計算では余事象 \(1-P( ext{1回も起きない})\) が便利。
3. 条件付き確率と乗法定理
独立な事象:\(P(A\mid B)=P(A)\) のとき \(A,B\) は独立。独立のとき \(P(A\cap B)=P(A)P(B)\)。
独立と排反(互いに素)は全く別の概念。\(P(A)>0,P(B)>0\) のとき、独立ならば排反ではない。
4. 全確率の定理とベイズの定理
(\(B_1,\ldots,B_n\) は \(\Omega\) の完全系:互いに排反かつ \(\bigcup B_i=\Omega\))
5. 例題
【例題 13-1】加法定理
52枚のトランプから1枚引く。ハート(13枚)または絵札(12枚、うちハートが3枚)が出る確率は?
解答
\(P(\text{ハート}\cup\text{絵札})=13/52+12/52-3/52=22/52=\mathbf{11/26}\approx0.423\)
【例題 13-2】ベイズの定理(診断検査)
有病率1%、感度90%、特異度95%の検査で陽性だった。実際に病気である確率(陽性的中率)を求めよ。
解答
\(P(+)=0.90\times0.01+0.05\times0.99=0.009+0.0495=0.0585\)
\[P(D\mid +)=\frac{0.90\times0.01}{0.0585}=\frac{0.009}{0.0585}\approx\mathbf{0.154}\]
陽性でも実際に病気なのは約15.4%のみ。有病率が低いと偽陽性が多くなる(ベイズのパラドックス)。
6. 練習問題
問題 1
\(P(A)=0.3,\;P(B)=0.5,\;P(A\cap B)=0.1\) のとき、(1)\(P(A\cup B)\) (2)\(P(A\mid B)\) (3)\(A,B\) は独立か判断せよ。
解答
(1) \(0.3+0.5-0.1=\mathbf{0.7}\)
(2) \(0.1/0.5=\mathbf{0.2}\)
(3) 独立なら \(P(A\cap B)=P(A)P(B)=0.15\) のはず。実際は \(0.1\ne0.15\) なので
独立でない。
問題 2
コインを3回投げる。少なくとも1回表が出る確率を求めよ。
解答
余事象(すべて裏)\(=(1/2)^3=1/8\)
少なくとも1回表 \(=1-1/8=\mathbf{7/8}\approx0.875\)
問題 3
工場Aが全製品の60%、工場Bが40%を生産。工場Aの不良品率3%、Bの不良品率5%。(1)全体の不良品率 (2)不良品1つを手に取ったとき工場Aで作られた確率
解答
(1) \(0.6\times0.03+0.4\times0.05=0.018+0.020=\mathbf{0.038}\)
(2) ベイズ:\(0.018/0.038\approx\mathbf{0.474}\)(約47.4%)