観察研究と実験研究

収集法 5-1 | キーワード:観察研究・実験研究・母集団・標本・無作為抽出・交絡

学習目標

観察研究と実験研究の違い、母集団・標本・無作為抽出の概念、交絡変数による因果推論の困難さを理解する。

1. 全数調査 vs 標本調査

種類内容長所短所
全数調査母集団全体を調査完全な情報コスト・時間・困難
標本調査一部を抽出して調査低コスト・迅速標本誤差が生じる

2. 観察研究 vs 実験研究

比較項目観察研究実験研究(RCT)
研究者の関与自然な状態を観察するだけ研究者が処理を無作為割り当て
因果推論困難(交絡の影響)可能(交絡を制御)
喫煙者と非喫煙者の追跡調査新薬のランダム化比較試験

3. 母集団・標本・ランダムネス

4. 交絡(Confounding)

観察研究で因果推論が難しい主因。第3の変数(交絡変数)が原因と結果の両方に影響し、見かけ上の相関を生じさせる。

「相関は因果ではない」。観察研究では交絡を完全に排除できないため、因果関係の証明にはRCTが必要。

5. 例題

【例題 10-1】研究の分類

(a)1000名の喫煙習慣と肺機能を調査し比較した。(b)200名を無作為に2群に分け、食事療法を6ヶ月実施して体重変化を比較した。(c)交通事故記録からシートベルト使用状況と負傷程度の関係を調べた。

解答
(a)観察研究:喫煙習慣は操作していない
(b)実験研究(RCT):研究者が無作為に割り当て
(c)観察研究(後向き):過去のデータ使用、介入なし
【例題 10-2】交絡の指摘

「スポーツ選手は一般人より骨密度が高い」という観察研究から「スポーツが骨密度を高める」という因果推論をできるか。

解答
できない(注意が必要)。
①骨密度が高い人がスポーツに参加しやすい(逆因果)、②食事・睡眠・サプリメントなどの交絡変数が存在する可能性がある。因果関係を示すにはRCTが必要。

6. 練習問題

問題 1

バイアスは標本サイズを増やせば解消できるか。理由とともに答えよ。

問題 2

「子供に音楽教育を受けさせた家庭の子供は学力が高い」という観察研究がある。「音楽教育が学力を高める」という因果推論のために必要な研究デザインと、観察研究での交絡変数の例を挙げよ。